TECHNOLOGY INTRODUCTION技術紹介

DEVELOPMENT/QUALITY研究開発/品質管理

研究開発

技術グループでは主に材料開発、工程品質管理、異常の原因調査などを行っております。所持している装置類は粒度分析、X線回折、熱分析、電子顕微鏡、強度試験機などで、自社でほとんどの評価が可能です。そのため、迅速かつ柔軟で多角的な材料評価に対応できます。

一口にセラミックスと言ってもそれは多種多様です。材質はもちろんですが、緻密体/多孔体、単純形状/複雑形状などお客様の用途に合わせた製品を提供しなければなりません。そのためには原料の調合から粉砕、成形、焼成という一連の工程を考えて材料設計することが求められます。技術グループではそれら全てに対して何度も試験を行い、安心した品質が得られる製造方法を確立していきます。

原料について

セラミックスの製造には多くの工程を必要とします。そのため、要所における工程品質チェックは欠かせません。中でも原材料は調合比や粒度などで製品の最終的な品質に大きく影響を及ぼすため独自の管理体制で厳しいチェックをしております。

原材料は天然鉱物由来のものが多く、そのため化学成分や微構造などにわずかな差を生じます。最終製品の品質を維持するため、これら原材料のわずかな特性差をどのように制御するかが求められます。天然原料の科学的制御は一朝一夕でできるものではありません。創業より培われてきた経験とノウハウあってのもので、これを我々は未来へつなげていく必要があると考えております。

品質管理

社是「お客様第一」

創業以来この信条を堅く守って参りました。今やこの伝統は社内に定着しております。感謝なきは離れ、奉仕なきは滅ぶの理は、企業にも通ずるものがあります。感謝の念、奉仕の心とは、常に「ご使用されるお客様の立場になってものを造る」ことであります。この様な良心と責任感が、お客様の信用を得て永く広くご愛顧いただけるもとである。いわばお客様第一主義が我が社の永久不変の姿勢であります。

社訓「自分に恥じない仕事をしましょう」

経営理念を生かすのは社訓に示すとおりであり、これを掲げ「時間一杯働きましょう」を合言葉に今日を築き上げてきました。この規律と共に汗した努力が競合会社との差になると信じ、一途にこの方針の揺るぎないことを期しています。

品質全般

成田QMS(ISO-9001準拠)による全社管理を行っています。

環境負荷物質

グリーン調達の推進および各種情報伝達ツール(chemSHERPAなど)への対応も行っています。

QUALITY品質保証

「熱」に関わる技術を進化させてきたからこそ、NARITAは品質を妥協しません。
お客様第一のモノづくりを支えるために、自社独自の品質管理部門を持ち、徹底的に品質を追求しています。

突然の強度低下!?
日々の品質確認と蓄積してきたデータ
原因を突き止める!

発電所で利用される蒸気タービン用ブレードの製造過程には、「ライナー」と呼ばれる「るつぼ」に超高温の溶融金属を流し込む過程があります。溶融金属の温度に耐えうるライナーを製造するためには耐熱性と強度が重要です。もちろん、ライナー内の物質が溶融金属に混入することも許されません。NARITA(成田製陶所)では製造されたライナーのサンプルをロットごとに日々記録し、グラフに反映させることで品質をチェックしています。ある時、グラフにプロットした強度の測定値が大幅に低下していることが確認されました。日々地道にサンプルデータを蓄積していたことで、即座に製品の異常に気づくことができました。そして素早い調査によって原因が骨材粒度の差であることを突き止め、トラブルを未然に阻止できたのです。

成田製陶所で販売しているライナー

測定記録をグラフで可視化

骨材通常

骨材低下品

拡大してみると粒度が異なっていることがわかる

セラミックプレートに入るはずのない異物が!
その正体とは?

焼成後に発見されたシリカ異物

セラミックプレートを製造する過程には、原料の粘土を土練機で練る工程があります。通常、密閉された土練機の中に異物が混入することはありませんが、過去に一度、不自然な異物混入の事例がありました。異物の化学組成を分析したところ、シリカ異物であることが分かりましたが、土練の過程でシリカ異物が混入することは考えられません。調査を進めていきたどりついた答えは、土練機内の真空度を高めるために使用されていたシリコーングリス。試しにシリコーングリスを1100℃で焼成すると、シリカ異物とほぼ同じ物質になりました。塗りムラがないように多めに塗っていたものが、土練の工程の間に混入し、焼成されたことでシリカ異物となっていたのです。

灼熱の炉の中で何が起きている?
トンネル炉内を可視化して品質を維持!

セラミックを焼成する際、焼成温度が適正でないと品質に影響します。熟練の作業者の中には、火の色を見るだけで炉内の異常を察知できる者もいますが、誰がいつ確認しても異常を見つけられるようにしなければ品質は上がりません。そこでIoT技術を活用し、トンネル炉の中の温度をエリアごとに集計した数値をクラウド上に記録できるように改善しました。どんな作業者でもひと目で温度の変化がわかるようになったことで周期的な炉内温度低下を観測できました。そのデータをもとに、設備のどの部分が温度低下に関連しているかが分かり、品質を維持することが可能になりました。

通常の台車

断熱処理不足

通常(左)の炉の状態と比較すると、炉内の温度が低くなっているところにはレンガの欠損など(右)何らかの不具合が起きていたことが分かった。

エリアごとの温度を把握できるグラフ

PC上で管理できるため、熟練の作業者でなくても異常を検知できる

セラミックプレートの
色ムラ原因を突き止めるために
8000本のピンを磨く!?

赤熱する面はユーザーから見える部分になるため、色ムラは御法度。

セラミックの品質において、外観も重要な要素の一つです。NARITA(成田製陶所)の主力商品のひとつであるセラミックプレート表面に原因不明の色ムラが発生したトラブルがありました。初めは焼成時に焼きムラが出てしまったと考えられていましたが、なかなか改善されません。調査を進めると、色ムラの発生頻度に特徴が見られることが発覚。特にプレートに孔を開ける金属ピンの交換直後に集中していることが分かりました。そこで金属ピンをターゲットに原因調査をすすめたものの、NARITAの専門はセラミック。金属について詳しくなく調査は難航しました。なんとしてもこの原因を突き止めるべく、金属に関する講習会に参加し、金属の知識を身につけました。さらに色ムラを再現するため8000本ものピンを丁寧に磨き、最終的に特殊条件下におけるピンと離型油の反応が原因だと突き止めました。どれだけ時間や手間がかかることであっても、品質維持と原因追求には努力を惜しみません。

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